Sugar&Milk
「お客様として来てもらったとき、仕事の打ち合わせしてた橘さんを見てカッコいいなぁって思ってて。一生懸命で、綺麗で」
「そう……かな?」
綺麗なんて言われたのはいつ以来だろう……。思い出せないくらい前だ。こんな魅力的な子に言われたら照れてしまう。
「橘さんのことずっと頭から離れなくて、気になって……いつも頼んでくれるものも覚えて」
「そうだったんだ……」
気恥ずかしくなり下を向く。何度も見ていてくれたなんて知らなかった。中山くんから近づいてきてくれなかったら知ることがなかった。自分がどう見られていたかを。
「俺……橘さんが好きです。付き合ってください」
予想してはいたが、思った以上にその言葉が嬉しかった。年下の可愛い男の子に好いてもらって舞い上がりそうになる。だからこそ中山くんに対する言葉を慎重に考えた。
「中山くんは私がいくつか知ってる?」
「正確な年齢はわかりませんけど、20代前半だとは思ってます」
「もう25歳なんだ。中山くんとは年離れてるし、まだ学生さんだし、色々と壁もあると思うんだ」
中山くんは真っ直ぐ私の顔を見ている。視線に耐えられず顔を逸らした。
「気持ちはすごく嬉しいよ。本当に。だけどもっと自然に付き合える子が他にいると思う」
私じゃなくても周りには他にもたくさんいるじゃない。大学にだって、あのカフェにだって。
「あの……30歳の人と25歳の人が付き合うのは不自然ですか? 60歳と70歳の人は?」
「え?」
突然質問された意味が分からなくて中山くんを見た。
「俺と橘さんだって同じです。橘さんが年上で社会人だろうと、俺が年下で学生だろうと、俺と橘さんが一緒にいるのはおかしいですか? 俺はそうは思いません。もう未成年でもないし、犯罪じゃないですよ」