Sugar&Milk
カフェ店員と恋、夢中になりました
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俺が駅構内にあるカフェに勤めてそろそろ一年になる。
ここは従業員同士の人間関係も良く、主婦とフリーターは何年も在籍しているベテランばかり。学生は大学1年の時に入ったら卒業までいる人が多いほどだ。近隣の店舗にヘルプに行かされることもあるけれど、居心地の良さが気に入っていた。
キャンパスが近場に変わり、今まで夜からだったシフトに昼からも入ることが多くなった。
けれど未だにランチタイムの忙しさには慣れない。夜から入るときはほとんど閉店準備で片付けが中心だけど、客層も違う昼間の接客に戸惑う。

飲食店に勤めるとお客様のマナーが目につくことが増えた。特に昼間から入ると来店人数が多いだけに様々なお客様を目にする。良いお客様も悪いお客様も。
駅構内にあるセルフサービスのカフェだが、システムを理解していない年配のお客様や横柄なお客様は返却口にカップを置かずに放置して帰る。コンビニなどで買ったペットボトルを持ち込む。禁煙と知っていて煙草を吸うなど。
もちろん丁寧に接してくれる常連さんもいて、その人が来たら注文を言われなくてもブレンドやカフェラテ、砂糖とミルクを付けるか、トレーを使うか使わないかまで覚えている。

帰り際に会釈をしてくれるお客様は多いが「ごちそうさまでした」と目を見て言ってくれるお客様は少ない。だから俺の目を見て笑顔で「ごちそうさまでした」と言ってくれた若い女性が印象に残った。しかも一度ではないから自然と意識してしまう。
俺より少し年上で会社員らしきその女性は、時々来店し遅めの昼食をとる。同僚と一緒の時もあれば、パソコンを持ち込み充電できるカウンターで仕事をしている時もあった。毎回決まって紅茶を頼み、それをすっかり覚えてしまった俺は必ず砂糖とミルクを添える。
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