Sugar&Milk
カフェの外から山本は大袈裟なくらい瑛太くんを探す。残念なことに外から見てもはっきり分かる位置に瑛太くんがいた。けれど素直に山本に教えたくなくて黙っていても若い男の子は目立った。
「あの子?」
興味深そうに聞く武藤くんに「そうだよ……」と呟く。
三人で自動ドアから店内に入った。ランチタイムのピークは外したからか、数席の空きがある。
私の姿を見て瑛太くんは嬉しそうな顔をしたけれど、一緒に入った山本と武藤くんを見て驚いたような顔に変化した。
瑛太くんから目を離してレジを向くと、もう見慣れた女の子がレジの前にいる。
「ご注文をお伺いいたします」
女の子は笑顔だけど目が笑っていない。私に文句のない営業スマイルを嫌みのように向ける。それが何だか怖いなと思ってしまう。
「今日は俺が二人の分も奢ってやるよ」
山本が珍しいことを言うから「え? いいの?」と武藤くんまで驚く。
「まー、俺が誘ったし」
「やったー! 高いのでもいい?」
「どんとこい」
それならばとメニューをじっくり見ようとするとレジにいる女の子が「ご注文をお伺いいたします」と強めの口調で言ってきた。びっくりして顔を見ると女の子は相変わらずの笑顔だけれど、より一層目が怖いと思ってしまう。いつまでもオーダーせずに話している私たちが気に入らないかのようだ。
「すみません……」
思わず謝ってしまった。すると山本は笑顔で「会計は全部一緒でいいっすよ。俺はブレンドコーヒーとBLTサンドのセットください」と女の子に伝えた。武藤くんは「僕はBLTサンドにサラダのセットでアイスコーヒーはサイズアップで」と伝える。
「武藤さー、奢りだから俺に遠慮しようとかないのかよ」
「ありがとう山本くん」