Sugar&Milk

レジの女の子にモンブランとセットでアイスティーを注文する。私の注文を聞いたと同時に、横にいた男の子が手際よくトレーの上にモンブランとアイスティーを載せる。

「ガムシロップとミルクでよろしかったですか?」

男の子が私の顔を見て聞いた。

「あ、はい……お願いします」

「かしこまりました」

男の子は笑顔でトレーにガムシロップとミルクを載せる。

「また来てくださってありがとうございます。この間のことも」

「いえ……」

「ごゆっくりどうぞ」

トレーを受け取り席に着きながら不思議に思う。ほとんどの場合紅茶ならミルクかレモンのどちらにするかを聞くものだが、あの子は私がミルクティーにすると知っているようだ。何回かあの子がいる時にアイスティーを注文したことがあったのかもしれない。だから覚えてくれているのだろうか。こういうのを常連っていうのかな。いつかは何も言わなくても出してくれたりして。そんな想像をしながらアイスティーにシロップとミルクを入れて混ぜた。

帰るときも男の子は私の目を見て「ありがとうございました」と笑った。この間は暗くてあまり意識しなかったけれど笑顔が印象的な男の子だ。



◇◇◇◇◇



会社に戻る電車の窓から夕日を見ていた。先ほどまで降っていた激しい雨が止み、空は綺麗なオレンジ色になっている。
もう少しで会社の最寄り駅に着く。またあのカフェを意識してしまう。だって男の子のことが気になるから。
この数週間は仕事が忙しくなったこともあり、あの日以来駅のカフェには行けないでいた。会社の最寄り駅の中にあるので改札を通る度に店内を見てしまうのは仕方のないことだ。けれどあからさまに見るわけではないから、一瞬ではあの子がいるかいないかは外からでは分からない。

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