好きじゃないならキスするな！…好きならもっとキスをして。

一晩

「それでね、そのデートの時に俊がね……」

翌日、いつものように給湯室で課長にコーヒーを淹れながら、私はご機嫌なテンションで俊との思い出を課長に話していた。


「いつまで続くんだよその話」

フーッとタバコの煙を吐き出しながら、呆れたような顔で課長が言うけど。


「え、まだ続きますけど」

「マジかよ」


――俊との結婚。もしかしたら無理かも、って思ってた時期が続いてた。でも、全然無理なんかじゃなかった。だって、俊もきっと同じ気持ちなんだって思ったから。俊がそう思ってくれてるのなら、私は全力で俊をサポートしよう。応援しよう。そしたら、きっとすぐに俊と結婚できる。そう思うと。


「幸せ話って止まりませんね！」

「俺はそろそろ止めてほしい」

課長のその言葉は無視し、私は幸せの味でいっぱいであろうコーヒーを課長に差し出した。そして。