大きな黒猫と小さな飼い主


白木のテーブルに並べた朝食は白米とお味噌汁、そして焼き魚。我が家では朝は和食が定番になりつつある。それをクロは嬉しそうに食べてくれる。



「やっぱりまゆ先輩のご飯は最高だね」

なんて言いながら。

私は照れくささを隠すようにひたすら白米を口に詰め込んだ。


ばかばかばかばーか!そんなこと言って今まで一体何人の女を泣かせてきたんだ馬鹿やろうこの野郎。

心の中で毒づきながらも、やっぱりクロには叶わない。


「おいしいよ」

クロは優しく微笑みかけてくる。そんな笑顔を向けられたら何も言えなくなっちゃうよ。

あの日だって……クロはこの笑顔を私に向けてきた。





————半年前。

長年付き合っていた彼氏に浮気されてどん底だった私を救ってくれたのが、大学の後輩のクロだった。

サークルOBの飲み会に誘われて参加したあの日、浮気されて捨てられた私はもうどうにでもなれ!と、やけになっていた。













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