真夜中のパレード


話は以前した合コンの話にシフトしたらしく、三人は甲高い声で騒ぎながらトイレを出て行った。


しんと静かになり、ほっと胸をなでおろす。
そして一人でさっき言われた言葉を思わず反芻した。


「……暗い、かぁ」


そんなに好かれていないのは分かっていたけれど、直接悪口を聞いてしまうと思った以上にダメージが大きかった。


「はぁ、そうだよね」


誰もいなくなったのを確認してからそっと鍵を開け、のろのろと洗面台の前まで歩く。


薄暗い化粧室の鏡にうつった憂鬱そうな顔の自分を見て、よりいっそう気持ちが塞いでいく。



「確かにこれじゃ、暗いって言われて当然だよね」


眉根の下がった情けない笑顔は、泣く直前のような頼りない表情に見えた。


本当は、自分も彼女達ともっと気軽に話したい。


そう考えてから、きゅっと唇を結ぶ。


でもこのくらいの陰口ですむのなら、“あの頃”より全然ましだ。
透子は手を洗い、もう一度深いため息をついた。


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