『本気の恋愛』始めましょ
 いつもはそのまま改札を抜けるけど、今日はその流れに抗い駅のトイレに直行。正確に言うとトイレに直行ではなく、私が齧り付くように向かったのは大きな鏡が並ぶメイク専用の鏡のブースの一つだった。


 ブースで見るのは自分の姿。


 大きな溜め息が零れた。


「会社に行きたくないな」


 そんな言葉が漏れるのは私の鏡の中の姿がイマイチどころか残念な感じだから。昨日の会社の帰りに寄った美容室で、『モデルの○○○のようなミステリアスでサラッとしたボブ』をお願いしたのに…。

 イメージとはかけ離れた姿で出来上がってしまった。鏡の中の自分を二度見してしまった。


 どう見ても『おかっぱの中学生』の出来上がり。


 スタイリストさんの腕は確かで、私の持って行った切抜きと寸分違わぬ出来にはなっているけど、こんなにも顔のつくりで違うのだろうか??
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