黒色女子を個人授業
「天野おはよう!」

「ひゃあ!」反省中に突然後ろから声をかけられ、私はびっくりして飛び上がった。

振り返ると、大げさに驚いた私を見てポカンとしている酒井くんの姿。

「……そんなに驚くなよ」

「あ、ごめん、酒井くん、おはよう」乱れた髪を直しながら、私は慌てて挨拶した。


「昨日、遅くまで大変だったみたいだな」

酒井くんは歩く私の横について言った。

そういえば約束、行けなかったんだった。いろいろあってすっかり忘れていた。

酒井くんと花には、悪いことをしたなあ。


「ごめん、行けなくて」

「ああ、いや。全然」

酒井くんは、気にしないでという風に早口で答える。
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