Sweet Lover
「腕枕して欲しい?」
だの
「抱き枕みたいに抱きしめて欲しい?」
だの。

響哉さんが軽い口調で聞いてくるのを次々と断っていたら、彼は

「分かった」

と言って、壁の端まで寄ってくれた。
自分の右ひじをついて、顔を支え私を見下ろすポーズを取ると、

「触らないように気をつけるから、気にせずお休み」

なんて、むちゃくちゃなことを言ってくる。

「気になるに決まってるじゃない」

「大丈夫だって。
 大丈夫、真朝ちゃんはもう、怖い夢なんて見ないよ。
 俺が保証して上げる」

響哉さんは珍しいほど丁寧に私の名を口にした。

掛け布団の上から、リズムをとるようにそっと体を叩いてくれる。

そのリズムに誘われるように、いつしか、眠りに落ちてしまって。


もう、朝まで夢は見なかった。
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