婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~
部屋に戻り、お風呂に入ると私はバタリとベッドに寝そべった。

濡れた髪を乾かす気力もない。

その時、不意に玄関のチャイムが鳴る。

誰よ…こんな遅くに…

私はヨロヨロとベッドから起き上がり、玄関の戸をあけた。

「やっほー!遥ちーん!」

まさかの燁子さんが満面の笑みを浮かべて立っていた

「超!面白いDVD借りてきちゃった!一緒に見よう!」

本当は疲れて眠りたかったけど、嬉しそうな燁子さんの顔を見ていると断われない。

「ありがとう。何もないけど、どうぞ」

燁子さんは「お邪魔しまーす!」と元気よく言って中へ入って来た。

さっそく炬燵に入りDVDをつける。

内容はラブコメ的な話なんだろうけど、シュールでイマイチ内容が理解が入って来ない。

睡魔と闘いながらようやくエンドロールまで持ちこたえる。

「ホントに面白かったね!…燁子さん?」

「ぐう」燁子さんの方へ振り向くとテーブルに突っ伏して眠っていた。

う、嘘でしょ…

肩を揺すっても燁子さんは一向に起きる気配がない。

匠さんに迎えに来てもらおうかとも思ったけど、12時を過ぎているのできっと眠っていることだろう。

仕方なく燁子さんをベッドまで引きずっていき、寝かせることにした。

昨日の兄に引き続き、今日は妹と一緒に眠る。

なんだかな…

ドロドロに疲れていたので、すぐに眠りに落ちていった…が数分後、寝苦しくて目が覚める。

燁子さんの長い腕が私の胸の上に乗っかっていた。

「う…重っ」私は腕を押しのけて再び眠りにつく。

…が数分後、今度は長い足に蹴飛ばされて目が覚めた。

燁子さん…寝ぞう悪っ…!


早々に実家が恋しくなったのは言うまでもない。
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