心掻き乱れるほど恋い焦がれて


翔太が、というよりもあの時は私が嫌だった。
翔太との今の関係に文句なんかなかったのに、あんなんじゃまるで、結婚の催促してるみたいだったから。





「ちょっと綾奈…これ持って帰ってよ」

お母さんがリビングに戻ってきて、私に向かって大きな封筒を差し出してきた。


「何?」
「お見合い写真よ」
「え?ちょっと待ってよ。なんでそんな話になる訳?」
「だって翔太くん、結婚する気なさそうだったじゃない」

焦っている私に向かって、お母さんはサラッと酷い言葉を口にした。
翔太くんいい男なんだけどねぇ。ね、翔ちゃんカッコイイよね!と、お母さんと春奈が会話をしているのを遠い意識で耳にする。



「ねぇ、とりあえず、お見合いしてみない?」
「えー、困るよ」
「その人もね、結構カッコイイよ。多分姉ちゃんの好みの顔」

春奈がお母さんにもたれ掛かりながら、ニィっと笑った。
我が家の女三人は、ハッキリ言って面食いというか、ぶっちゃけてしまえば、イケメンが好きなのだ。
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