俺様社長と秘密の契約
「そんな顔してもダメだ」

「・・・・」

…泣き落としは、子供だましでしかないようだ。


「婚約者なんてどうでもいい。

…俺には、アンタとの二人きりの時間が欲しいだけだ」


「ぇ、ちょ・・・ん・・・」

それ以上の言葉は出せなかった。

…まさか、こんな形で、『初めて』を男に捧げる羽目になるとは。

この歳で、初めてなんてありえないけど。


…静かな社長室の中。

2人の息遣いと、イヤらしい音だけが響いていた。


…誰かが言ってたな。初めては痛いけど、嬉しい痛みだって。

…私は、、全然違った。


「…お前、初めてだったのか?」

「?!」

行為を終えた御堂社長が、ポツリとつぶやいた。

恥ずかしさと、嫌悪感と、悲しさで一杯だった私は、一気に涙が溢れ出した。

・・・こんな契約は、不成立だ。

私は、御堂社長を振り切って社長室を飛び出した。

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