俺様社長と秘密の契約
「会長、貴方が龍介を認めないから、この家を出て行ったと、いつになったら気がつくんですか?龍介はずっと、会社の為に、頑張っていた。それなのに、龍介を踏みにじったのは、会長、貴方だ」

「…」

「龍介を呼び戻します。
あいつには、御堂を継ぐ資格は、十二分にありますから」

「私は認めんぞ、龍吾」

「…認めて頂きます」

一礼した俺は、会長室を出て行った。

会社を出た俺は、自分のマンションに帰った。

ネクタイを緩め、寝室に向かう。
静かに開けたドアの向こうに、規則正しい寝息が聞こえている。

起こすまいと、静かにそこに歩み寄り、跪いた。

余程疲れているのだろう。
理子は、全く気づく事なく、眠っている。
俺はそんな彼女の髪を優しく撫で上げた。

「…ん」
神宮寺善一郎に会わせなければ、理子は苦しまずにすんだかもしれない。

そうすれば、公の場に彼女を出す必要も無かった。

このまま、ただ俺の秘書として、静かに暮らして行けたはずなんだ。

「…理子、君は今、幸せだろうか?」

眠っている理子に問いかけても、応えるはずもない。

「幸せだと、理子の口から聞けるよう、頑張るから」

そう言って、眠る理子にキスを落とした。
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