今度こそ、練愛

その後、一通りの質疑応答を終えて面接は終了。結果は二、三日中に電話連絡してくれるとのこと。



私は期待に胸を弾ませながら家に帰った。もちろん丁寧に包装してもらったカラーも忘れずに。



面接結果を知らせる電話があったのは意外にも早く、面接した日の夜だった。第一声から高杉さんの声は明るくて、期待してしまう。
ドキドキしながら採用の言葉を聞いた瞬間、肩の力が抜けた気がした。



だらだらした毎日も明日で終わる。



明日は出勤初日。前の会社よりも早い出勤時間だからと、いつもより早く布団に入ったのになかなか寝付けない。構え過ぎていたのかもしれない。



ふとローテーブルの上に活けたカラーを眺めながら、『よし、頑張ろう』と呟いて目を閉じた。



翌日、緊張感いっぱいで出勤すると店内ではエプロン姿の高杉さんが掃除をしていた。



「おはようございます、よろしくお願いします」

「おはよう、ロッカーに案内するわ、制服も用意しているから着替えて」



案内された店の奥には、事務所と更衣室と会議室。白いシャツと黒いスカートのシンプルな制服に、黒いエプロンを着けて準備完了。



まだまだ緊張しているけれど不安はない。むしろ今の私には期待感の方が大きい。
まだ当分の間はアルバイト扱いだけど、私は頑張ろうと思う。



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