How much?!
ND≠0


2月下旬。

麻生さんを自宅に招いた日から、あっという間に半月が経とうとしている。

あの日を境に頻繁にメールをするようになり、時間を見つけては食事をするようになっていた。


「それで~?昨日は、何て言われたんですか~?」

「………鳥の巣って、馬鹿にされた」

「えぇ~可愛い髪型だったのに~」

「だよね~?!私もそう思うんだけど、奴にしたら『鳥の巣』にしか見えないらしい」

「ホント、ムカつく奴ですねっ!私の可愛い小町先輩にいちゃもんつけるなんてっ!私が代わりに一発ぶん殴って来ますよっ!」

「フフッ、ありがとね」

「あぁ~、マジでムカつくぅ~」


あれから数回彼と食事をしてるけど、その度に毒を吐かれている。

昨日はふんわりビーハイブヘアにして行ったら、『鳥の巣』と貶された。


その前は、新色のピンクベージュのアイシャドーを使って、春らしいメイクを施したの。

シアーカラーの奥にパールが煌めく感じで可愛らしい仕上がりにしたのに……。

『お前、瞼に桜でんぶでも付けてるのか?』って!!

ちらし寿司や巻き寿司に使うような食材を、わざわざ瞼に付ける女がどこにいるのよッ?!


逢う度に難癖をつけられて、正直へこむを通り越して、勝ちたいと思ってしまうのは……私が相当捻くれてるからだよね。

自分でも自覚している。

普通の女の子なら直ぐに泣いてしまうほどの言葉でも、私は『何ですってッ?!』と息巻いてしまう。

奴の口を塞ぎ、褒め言葉の1つや2つ言わせてみたいと思ってしまうのだから……。


< 145 / 290 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop