あなたの優しさが…

軽いお弁当を作り、レジャーシートを持ち、大好きな本を持ち散歩に出かけた。


前に河川敷に公園があって
行ってみたいと思っていた。



今日は天気が良くて風も穏やか。


公園の端の方でレジャーシートを広げて
本を読み始めた。

1時間くらい経ち、少しお腹が空いたので作ってきたお弁当を食べようと思った。



『きゃっ…いた…ぃ』
そんな声が聞こえ、声がした方を見ると
30代後半か40代前半の女性が尻餅をついていた。


「大丈夫ですか?」と駆け寄り
手を差し伸べ、立ち上がったのを確認して衣服をほろった。


『なれない道を歩いてたら、躓いてしまって…』

よく見ると、転んだときに手をついたのであろう、手から血が出ていた。


私はレジャーシートへ座らせ、
いつも持ち歩いている消毒液と絆創膏を出した。


『いつも、持ち歩いてるの?』

「はい。よく転ぶんです」と笑いながら
消毒をする。


絆創膏を貼り、良くなりますようにと
言いながら女性の手を私の手で柔らかく包んだ。


女性はキョトンとしていたので

「小さい頃、近所のおばあちゃんに
こうやってされてたんです?
そうすると、治りが早くて…」

そう伝えると、女性も和かに笑いながら
『早く治りそうだわ』

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