年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「祥裄くんくらいのハイスペック、探そうって言ったってなかなかいないからね。今からでも遅くない、可愛くおうちピンポンでもして、やり直そ、って上目遣いの一つでもしてきなさい」

「ムリ」

大手の住宅機器メーカーの営業をしている祥裄は、瑞香の言う通り高いスペックの持ち主だ。

仕事ができて上司の覚えもめでたい将来有望株、営業で培った人あたりの良さとトーク力。
おまけに背が高くて涼しげな目元の整った顔立ちとくれば、女の子がキャーキャーいうのも仕方がない。

インテリアコーディネーターとして設計事務所で働く私が同い年の祥裄と出会ったのは、入社したてのお互いまだ右も左もわからない頃だった。

あの頃は先輩についていくのが必死で、打ち合わせで同席する祥裄の姿を見て、その頑張っている様子に励まされたことが何度もある。でも最初から祥裄は女の子に人気があって、きっと私がほんのり恋心を抱いたところで無駄だろう、と諦めていたから、彼のほうから付き合おう、と言われた時は、からかっているんじゃないかと本気で疑った。
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