年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~

「お前、店舗のほうやってみるか? 今度手がける海の近くのカフェ」


え、と驚いて一瞬言葉が出なかった。


「まあ、住宅のほうと並行になるから無理にとは言わないけど」

「いえ、やります、やらせてください!」


慌てて絞り出した声が上擦った。
信じらんない、そんなのやらせてもらえるなんて。

うちの会社は圧倒的に住宅の注文が多くて、店舗の内装はほとんどチーフの平山さんが手がけていた。補助的に手伝うことはあるけれど、メインで任される、っていうのは初めてだ。

「設計の小川さんとも話して決めたんだ。最近のお前の頑張りはみんな認めてる。怪我の功名ってやつだな」

ちょっと違うか、と笑いながら、それで話進めるから、と私の肩を励ますように叩いて去っていった。


じわじわ嬉しさがこみ上げて来て、落ち着こう、と一度椅子に座る。

店舗の内装はずっとやってみたかった。
それになにより、私の仕事がちゃんと認めてもらっている、そのことが嬉しかった。

うしっ、と小さくガッツポーズをして、それからすぐに携帯を取り出した。
これは早く大輔くんに話したい。今日の夜、会えないかな。
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