もう、誰も好きにならない。








ワタシを完全拒否した二宮くんが、ようやく英語の教科書を開いた。







開かれたページに目が留まる。







「・・・・・・・・・・・・英語嫌いって、嘘じゃん」







二宮くんの教科書には、綺麗な字で書き込みがされていて、むしろ英語は好きで得意なんだろうと感じた。







「・・・・・・・・・・・・まぁ、オマエよりは出来るだろうな」







『先生来たから黙っとけ』これ以上突っ込まれたくない様子の二宮くんは、丁度先生が来た事をいい事に、ワタシを黙らせた。







よくよく考えてみれば、曲がった事が嫌いな二宮くんが、授業をサボるわけがない。







友達でもない。 好きでもない。 むしろ嫌い寄りのワタシを放っておけなくて、窓側の後ろから2番目の席から、廊下側の前から3列目のワタシの隣に移動してくれた二宮くんは、口だけが辛辣なとても優しい人間だ。
< 76 / 174 >

この作品をシェア

pagetop