「恋って、認めて。先生」

 アパートに着き扉を閉めるなり、私達は激しい口づけを交わした。

 永田先生にあんなにきつく注意されたばかりだというのに、そんなこと考えたくないと言わんばかりにーー。

 唇を離すたび生々しく音が鳴り、扇情的な空気をより濃くしていく。


 服を脱ぐ時間すらもどかしい。

 薄暗い寝室。我慢していた何かを解放するかのように、私達は裸になりベッドになだれ込んだ。

 まだキスしかしていないのに、もう、お腹より下が熱く濡れている。

「飛星……」

 上に覆い被さった比奈守君が、熱い舌で焦らすように何度も私の肌を愛撫する。

 両手の指先を絡ませ合い、比奈守君のぬくもりを感じながら、互いの体に唇を寄せる。

「飛星……。好きだよ」
「うん……」

 体は激しく脈を打っているのに、どうしてもまだ、好きとは言えなかった。

 比奈守君は意地悪な笑みを見せ、私の中にゆっくり入ってきた。深く押し広げるように、彼は強く腰を動かした。

「好きだよ。飛星は?」
「……っ!」
「へえ。子供相手に、飛星はこんなになるの?自分に言い寄る生徒なら誰でもいいわけ?」
「そんなこと、ないっ!」

 永田先生に言われたことを気にしているのか、比奈守君はいつになく卑屈だった。でも、それも彼なりの冗談であり、私をいじめるためのセリフだと分かると、よけいに濡れた。

「飛星はもう、俺のものだって思ってもいい?」
「そうだよ?だって、付き合ってるんだから…!」

 比奈守君とのセックスはとても気持ち良くて、恥ずかしいけど大きな声が出そうになる。隣近所の大迷惑になりそうだからと声を抑えていると、

「初めてした時みたいに、声、出さないんだ」

 比奈守君は微笑し、さらに激しく私を抱いた。

「ダメ!それ以上は……!」
「もっとしてほしい?」
「違っ……!」
「体は欲しがってるよ、俺のこと」

 恥ずかしさと気持ち良さが妙な感じで混ざり合い、変になりそうだった。

「飛星の感じてる顔、見たい」
「あっ……!」

 されるがまま、何も考えられない。何度も体にキスをされ、指先で敏感な部分を刺激される。理性とか我慢とか、そんなものどうでもよくなってきた。

 繰り返し全身で快感を与えながら、比奈守君は切なげな声でつぶやいた。

「飛星の気持ちは、恋だよね?」
「どうしたの?急に……」
「飛星優しいから、生徒の告白に同情してこういうことしてんのかなーって……」
「同情でこんなことするわけないでしょ!?」

 思わぬことを言われ、つい、きつい口調で言い返してしまう。泣きたくなった。

 こんなこと、誰にでもするはずがない。そんな軽い女だと思われていたんだろうか?

 潤んだ私の瞳を見て、比奈守君は悲しげに謝った。

「ごめん、どうかしてた。傷つけるつもりなかった。飛星がそういう女じゃないって、分かってる」
「……もしかして、永田先生の言ってたこと気にしてる?」
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