その笑顔に惹かれて



「絵梨」
「ん?」
「もうマジ、すっげぇ会いたいからさ…どんだけ早くてもいいから連絡して」

恥ずかしげもなくそんな風に言えば、彼女が息を呑むのが聞こえて、暫らくの無言。
引かれた?と内心で焦る俺の耳に、彼女の小さな溜息。



「和也が珍しい事言うから…会いたくなっちゃったじゃない……やだなぁ…」
「お前なんも言わねぇから、引かれたのかと思ったじゃん」
「引く訳ないでしょ?」
「そう?」
「うん……そんな事言われたら嬉しくて泣きそうだよ」

泣きそうと言いながらくすくすと笑う彼女は、あの頃と相変わらず、俺にはなんだか新鮮だった。



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