俺様上司は、極上の男!?
違うでしょ?
私に飽きたかなってところで朋子に告白されて、乗り換えただけでしょ?
体よく「本気の相手に出会ってしまった」みたいな言い方で浮気を正当化してるだけでしょ?


「別れて、つぐみ」


私はすべての反論を飲み込んだ。

自分が信じられなかった。
言いたいことを言わずに男と別れようとしているなんて。

非は相手にある。

私には、少なくとも、怒り狂う権利がある。


「わかった、別れる」


私は怒らなかった。
ただ、冷えた声で答えて、それで電話を切った。

スマホを朋子に返しながら、最後の言葉を伝えた。


「結婚式に呼ぶとか、無神経なのはやめてね」


捨てゼリフってやつ。そう言って立ち上がった。
一口も飲まなかったシナモンラテを下げ台に置き、涙する朋子を置いてカフェを後にした。

これが、昨日の大きな出来事①だ。
そう、これはまだ①。






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