食人姫
「何を言っとるか、それがお前らの仕事じゃろうが。金だけもらって、何もせんでええと思ったら大間違いじゃ」


その中の光が、こちらに向かって動いて来る。


そして現れたのは……哲也の爺ちゃんだった。


懐中電灯を手に、警察官に近付いてその胸をポンッと叩く。
















何で……こんな所に爺ちゃんが。


いや、そうじゃない。


何で俺達は……谷に戻って来てるんだ?


この警察官に連れられて、街に行ったはずじゃなかったのか?


「さあキミ達、村に戻るんだ。儀式とやらが終わるまで、大人しくしているんだ。いいね?」


「う、嘘だろ……」


受け入れがたい現実を前に、俺はそう呟く事しか出来なかった。


「連絡を受けて、本殿を調べてみたら……なかなかやるのう。哲坊で時間を稼いで入れ代わりおったか。巫女様を連れ出すとは、この罰当たりもんが!!」


爺ちゃんの怒鳴り声と共に、一斉に警護が動き出した。


懐中電灯の光が俺達を取り囲み、抵抗する間も無く俺は麻里絵から引き剥がされたのだ。


「巫女様を丁重に本殿にお連れするんじゃ。そっちのガキは少しくらい乱暴に扱っても構わん」


俺を蔑むように言い放ったその言葉は、哲也のような死を迎える事を連想させるには十分なものだった。
< 228 / 272 >

この作品をシェア

pagetop