食人姫
嘘と真実
哲也の家に戻ると皆集まっていて、その中に直人の姿もあった。


「直人、今までどこに……」


と、そう尋ねようとした時だった。


部屋の入り口に立つ俺を押し退けて、哲也が直人に詰め寄り、グッと握り締めた拳を直人の頭部に振り下ろしたのだ。


ゴンッという鈍い音が響き、そこにいた誰もが驚きの表情に変わった。


「いっ!痛いな!何するんだよ!!」


「テメェは今までどこにいたんだよ!勝浩を呼びに行ったんじゃねぇのかコラ!!」


直人が顔を上げると同時に胸ぐらを掴んで怒鳴る哲也。


「呼びに行っていなかったから、さっき帰ってきたんだろ!!僕が何をしたって言うんだよ!」


あまりの痛さからか、目から涙が溢れる直人。


「哲ちゃん!何があったか分からないけど、いきなり殴るのは酷いよ!」


源太が、その巨体で二人の間に割って入った。


強引に引き離された二人はお互いに睨み合ったまま。


「勝浩がなあ、死んだんだよ!!化け物に食われて、身体の上が鳥居に引っ掛かってたんだよ!!お前がもっと早くに行っていれば……」


その言葉を、皆信じられないといった様子で哲也を見ていた。


だけど、改めてそれを聞いた俺は違和感を覚えた。
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