嫌われ者に恋をしました*エピソードplus

 私たちは結婚してすぐにドイツに来たから、忙しかったこともあって、今まで子どものことを話したことがなかった。

 隼人さん、あんな風に一緒にお風呂に入って聞いてくるなんて、本当はずっと子どものことを話したかったのかな。

 もう少し二人きりでいたいなんて言ってたけど、本当は子どもが欲しいのかな。

 真面目で律儀な隼人さんは、私が子どもを欲しいって言わないから、ずっと避妊をしてくれている。

 今回の会話で私が子どもを作ることに迷いがあるってわかったから、きっとこのまま続けてくれると思う。

 本当に優しい人。

 私が子どもを持つことに躊躇する理由。それは、もしかしたら、私もお母さんと同じことをしてしまうんじゃないかって恐怖があるから。

 お母さんと私は性格も生活環境も全然違うってわかっている。わかっているけど、それでも心のどこかに引っかかっている。

 私は本当に臆病な人間だ。

 隼人さんは私のことを暴力的な人間じゃないって言ってくれるけれど、やっぱり漠然と何かが怖い。

 今は自分のことを叩いたりしないけれど、自分のことを叩いていた私は、ただ単に暴力が自分に向いていただけで、その矛先が変わらないとは言い切れないんじゃないかって思ってしまう。

 どうしたらこの恐怖に打ち勝つことができるんだろう。

 もう少しよく考えてみようかな。

 いや。本当は考えてわかることじゃないような気もする。

 もしかしたら時間が解決してくれるかもしれないなんて、甘い考えもあったりして。

 結局、私は隼人さんに甘えてしまっている。そんな弱い私も受け入れてくれる隼人さんに、本当に心から感謝してる。
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