本気の恋をしようじゃないか《加筆修正版》
小牧君が勝手に持っていったのだから、待たずにこのまま回れ右をして帰ろうと思えばできた。
だけど自分でもどうしてなのかよくわからないけど動けなかった。
そのうち、小牧君が職員室から小走りでやってきた。
私がいることに気がつくとホッとした様な表情を見せ軽く右手を上げた。
もちろん私は笑顔で返すことは出来なかった。
だってきっと誰にでも今みたいな笑顔を振りまいているに違いないと思ったからだ。
「ごめん。つっちーにいろいろと突っ込まれてさ・・・」
手を頭の後ろにあてながらはにかむ姿。
無自覚なのだろうかわざとなのか迂闊にもドキッとしてしまった。
ダメダメ。騙されないぞ。
ドキドキを消すかのように慌てて視線を廊下の目地に移す。
「何か言われたの?」
感情を出さずに淡々とした口調で尋ねる。
「うん・・・いろいろとね・・・それより教室行こうか」
私の質問を適当に交わし、小牧君は歩き出した。
ついていかなくても良いかなって思ったけど私のカバンは教室にある。
私は仕方なく小牧君と距離をとって後ろからついていった。
すると小牧くんが足を止め振り向いた。
「なんでそんなに後ろを歩くの?」
勘違いされたらお互いに困るでしょとい言おうとしたがやめた。
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