不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「風見さんにとったら、私なんて無能でなにも任せられない役立たずなんだろうね」

「ち、違いますよ!」

 自虐的に元気のない笑みを浮かべながらそう言った塚原さんに対し、私はブンブンと手を横に振りながら否定した。

「風見さんは人に頼るのが苦手なんですよ。自分が塚原さんに仕事を頼んでせいで、塚原さん自身の仕事が滞るんじゃないかという心配もあると思うんです」

 表向きはいつも、そんなこと知るかという無愛想な態度を取るくせに、風見さんはほかの人に対して何気に気をつかっている。
 それを表に出したり、悟られたりするのが恥ずかしくて嫌なだけだ。

「だから塚原さんが無能とか、そんなことは絶対思ってないですから!」

「ありがとう。ちょっと元気出た」

 いつのまにか必死で喋っている私を見て、塚原さんがにこりと笑ってくれた。
 その笑顔を見て、私も少し心がやわらいだ。

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