私だけの魔法の手。
私の肩に凭れ掛かるようにして寝ている男の子。
普通だったら怒り狂いそうな状況なのに、抵抗もせず、怒りもしないでされるがままっていうのはどういう事なんだろう?
年下の男の子に恋をするなんて。
しかも、まともに喋った事すらない相手に一方的に恋をするなんて、絶対に有り得ないと思うのに、ドキドキしっぱなしの胸は誤魔化せそうになかった。
「下りるよ」
「え?」
寝ているとばかり思っていた隣から、割と冷静な声が聞こえて驚いた。
繋いだままの手を引かれて電車を下りると、訳も分からずに男の子に付いて行った。