不機嫌な君
金崎部長の言葉に、声が裏返る。・・・何で、そんな事を思ったのか。私には理解不能だ。

「お前気づいてるか?」
「・・・」

「スッゲ―泣き顔だって事」
「?!」

…笑顔なんて演技、私には無理だったようだ。…いつもそう。思ってる事が顔にでる。

「そんなに無理して別れる理由はなんだ?」
「・・・」

社長に言われてからなんて、誰が言えるだろう?

「俺より先に出社してたはずなのに、今朝オフィスに入ってきたのが遅かったな?」
「・・・」

そこを言われると、なんて言い訳していいのか困る。

「誰に会ってた?」
「・・・金崎部長には関係ありません」

そう言うのが精一杯だ。

私の言葉に、金崎部長が溜息をついた。そして一呼吸置くと、再び、私の指に、指輪をはめようとした。

「やめて!」
私は咄嗟にそれを振り払った。・・・その衝撃で、指輪が床に落ちた。・・・最悪に自分の行動に、腹が立った。それと同時に罪悪感で一杯になった。金崎部長から貰った大事な物。本当は、ずっと持っていたい。金崎部長との繋がりを失いたくない。

・・・でも、そんな事は許されない。そんなことしたら、気持ちが揺らいでしまう。離れられなくなる。

「…俺達は、想いあってると思ってた」
「・・・・」

「それは俺の思い過ごしだったのか」
「・・ごめんなさい。幸せになってください」

…想い描いた幸せは、自分から手放してしまった。・・・でももう、後戻りできない。

私はオフィスを飛び出した。

金崎部長、…私は今もずっとこの先も、貴方を忘れられそうにありません。

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