課長さんはイジワル2
荒れに荒れた相場だった。

この日ばかりは、場が引けた後にデスクでウトウトし始める人続出。

3時に場が引けて、5時の終業になるまでがトレーダーにとっては一番ほっとできる時間だ。

このときに事務処理をするんだけど、あまりにも忙しかったので今日は新人の私が起こすべき伝票は、佐久間課長が勢いで書いちゃったために1枚もない。

「おい。15階に行くぞ」

「はい」

ん?

15階は社員食堂と喫茶室しかなかったはず?

その喫茶室に佐久間課長と入る。

「悪い。10分したら起こして」

奥の席に着いた途端、スィッチが切れたみたいに佐久間主任が寝落ちする。

無理もないや。

今日は朝から、てんてこ舞いだったもの。

怒声やハイテンションになって皆が拍手もしたり、大声で叫びあったり……。

入社して半年経つけど、今日みたいな相場を見たのは初めて……。

佐久間課長は深く椅子に腰を下ろし、腕を組んだままコックリコックリ寝ている。

あ~あ、メガネも取らないで。

ずり落ちそう。

課長のメガネをそっと外す。





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