妖刀奇譚
「かいがい……?」
「平たく言えば、海の向こう側の異国かな」
「唐や新羅のことか」
「……まあ、そんなところ」
ドラマを一旦中断して、思葉はインターネットで海外の写真を表示する。
玖皎は人の顔立ちの違いや街並みの違いなどに初めはぽかんとしていたが、思考回路が追い付いて次第に興味を抱いてあれこれ矢次に質問してきたので思葉は困った。
海外に言った経験もなければニュースやバラエティー番組もあまり見ないので、外国の事情はよく分からない。
説明代わりに諸外国をテーマにした番組を見てもらうことにした。
「今でも留学しに海外へ行く者は多いのだな」
「それだけじゃないよ、仕事で移住したり、観光目的で行くことも多いわ」
「ほう、国外とのやりとりも随分と変化したのだな。それでは永近は観光が目的なのか?」
「そうだよ、おじいちゃん、友達が経営している旅行会社のヨーロッパツアーに参加しないかって誘われてね。
現地で骨董商がどんなものかちょろっと解説をする代わりに旅費を安くしてもらったみたいなの。
で、一人じゃつまらないからほかの三人を誘ったってわけ」