【完】狂犬チワワ的彼氏


その事に俺がびっくりしてそう聞いたら、智輝は不機嫌そうに目を細めて言う。



「そーだよ、わりーかよ。せっかく助けてやったのに、何だあの態度」

「!」

「すっげ最悪だな。拓海、やっぱ彼女は性格で選んだ方が良いぞ」



あの女の良いところは顔だけだ。


智輝は半ば怒りながらそう言うと、ソファーから立ち上がってキッチンに向かう。


…助けてやった、って…?


智輝の言葉に聞きたいことはたくさんあるけど、今の俺はとにかく“智輝が妃由に殴られた”っていう事実に驚いていて。

だって…妃由は俺の顔が好きだって言っていたのに、それは意外すぎる。

もしかして、智輝が妃由に手を出したのか?


そう思って、また智輝にそれを聞こうとしたら、それを遮るように智輝が言った。



「っつか拓海、お前それ何だよ」

「…え?」

「そのピンクの封筒。……あ、もしかして女か!?」



智輝は俺がさっき郵便受けから出したその封筒を見てそう言うと、「見せろ!」と言わんばかりに俺のそばに駆け寄ってくる。

俺はそんな智輝から封筒を遠ざけようとしたけれど…


……まぁいいか。

どーせ捨てるつもりだったし。


< 215 / 315 >

この作品をシェア

pagetop