悪い男〜嘘つきより愛を込めて〜
彼女が意識をなくし、腕の中で深い眠り

についている。


待ち望んだ時間を一緒に過ごし、愛しさ

が増していく中、かわいい寝息を立て肌

寒いのか無意識にすり寄って暖を取ろう

とするしぐさに心をくすぐられる。


彼女を抱いた喜びで気が高ぶっているの

か、裸の彼女を抱きしめていて興奮して

いるのかわからないが高揚感が止まらな

い。


そのうちまた、彼女に逃げられるのでは

という不安にさいなまれなかなか眠りに

つくことができないまま朝を迎えてしま

った。


腕の中で目覚め始めた彼女


俺は、彼女をぎゅっと抱きしめ寝たふり

をして彼女の反応を待った。


目覚めた彼女は、俺にホールドされてい

ることに戸惑い抜け出そうと試みる。


ホールドされて意識のある男から女のひ

弱な力で逃げ出せるわけがないのに、必

死に頑張っている姿を目を薄め見ていた。


困り果てている彼女に、俺はさも今起き

たかのように振る舞うと、頬を染め恥ず

かし気に視線をずらして朝の挨拶を秘書

の顔で言ってきた。


なんだか無性に腹立たしい。


あんなに愛し合ったのに朝の一言が『お

はようございます』なんて…


俺は何を期待していたのか⁈


(零、おはよう…昨日は……)


脳裏によぎる言葉を払いのけ、シャワー

を浴びて妄想を止めた。


「目が覚めたよ。胡桃も浴びておいで」


「……はい、ありがとうございます。副

社長のタキシードはハンガーにかけてあ

ります。…私は後から帰りますので先に

お帰りください」


少しも心を開くつもりがないのか?


俺と一緒にいるのがそんなに嫌なのか?


どうして他人行儀なんだ‼︎


「…お前は、俺を煽るだけじゃなく怒ら

せるのもうまいみたいだな」


彼女に詰め寄っても何が俺が苛立たせて

いるのかわかっていないようだった。


「わかっていないみたいだな…」


怯えた目で頷く彼女


「まだ、時間はある…わからせてやるよ」


彼女の手を掴み浴室へと向かうとシャワ

ーの下で彼女を抱いた。


彼女に問いを投げかけ、違う答えに思わ

ず肩に歯を立てた。


どうしてそんなことをしたのか?

そんなのわかるわけがない。


ただ、そのままベッドで抱いていたら怒

りに任せてもっと乱暴に抱いていた。


冷静さを取り戻した俺はもう一度ベッド

の上で優しく彼女を抱いた。


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