悪い男〜嘘つきより愛を込めて〜
「彼だと⁈ 言い訳なんて聞きたくない

。出て行け…」


デスクにある書類を撒き散らして怒りに

任せ怒鳴っていた。


「……申し訳ございませんでした。失礼

します」


今にも泣きそうな声で震えている。


なぜ⁇


お前がそんな顔をしているんだ⁈


泣きたいのは俺の方なのに…





副社長室を出て行く胡桃の後ろ姿をただ

見つめていた。


あまりにも突然の告白に訳がわからない

。胡桃は何を言ってるんだ⁈


お見合い⁈


大和の孫娘⁈


言い訳ができなかった⁈


ドサッと椅子に落ちるように座り天井を

仰いだ。


峯岸は、黙ったまま床に散らばった紙た

ちを拾い集めている。


その間、頭の中をリピートしていく胡桃

の言葉。


はぁ〜


どうしてこんなことになってるんだ⁇


「副社長‥」


峯岸は拾い集めた書類をデスクの上に置

き、いつも以上に冷ややかな声で俺を副

社長と呼ぶ。


「なんだ⁇」


「今から言うことは秘書ではなく、一個

人として零の友人として言わせてもらう




「‥…」


「お前は、彼女宮内とどうしたいんだ?

今までのように遊びなら一回限りにして

おくべきだったんだ。それなのに、直属

の秘書にして手を出した。身体だけなら

期待を持たせる行動をするべきじゃなか

った。彼女の気持ちはわかってるんだろ

う⁈」


「何が言いたい⁇」


「わからないのか?お前は女に本気なっ

たことがないから彼女もそうなのかと聞

いてるんだ⁇」


「それは違う‥…初めて会った時から…

こんな気持ちは初めてなんだ」


そうだ…

こんなに愛しいと思う女ははじめてなん

だ。


「それなら、お前は言葉で彼女に示すべ

きじゃないのか⁈お前ときたら肝心な物

が抜けている。それを通り越して身体か

ら始めるからこんなことになるんだ。自

業自得だ」


「なっ…なんだと」


容赦無い言葉に腹がたつ。


「副社長‥私は彼女を見てきます。それ

までどうされるべきかよくお考え下さい




口調が秘書に戻った峯岸は、彼女の様子

を見に出て行った。


が‥

すぐに手に何かを持って戻ってきた。


「零、彼女が…」


差し出される封筒と見覚えのある指輪


どう言うことだ⁈


「まだ、社内にいるかもしれない。俺は

捜してくる…峯岸、お前は彼女に電話を

かけてみてくれ」
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