I'm crazy about you.


「もう泣かせないって毎回後悔すんのに、なんで同じ事繰り返すんですかね?」
「それは俺にも分からねぇな…仕事のが全然簡単だよ」
「確かにそうかもしれないッスね…」
「だからちゃんと努力しないといけないんだろうけどな」

苦笑する克哉さんを見て、自分にとって完璧な存在の克哉さんの言葉は、俺の中にスーっと浸透していった。




いつもいつも、無くしかけないと気付かない自分が嫌になる。


自分からメールをするどころか、七海がくれるメールにすら返事もしなかった。
空いた時間は七海に会う事よりも、溜まった洗濯と睡眠に充てた。



一時間でもいいから顔が見たいと言われた時、俺はなんて答えたっけ?


あぁ確か、睡眠不足が続いた後でイライラしてて、一時間あったらゆっくり寝たい、って言ったんだ。
言葉を無くした七海は泣いてたのかもしれないけど、俺は呼び掛けても返事がない事にイラっとして、またな、って電話を切ったっけ。





考えれば考えるほど自分のしてきた事の酷さに辟易する。
俺だったらこんな恋人は嫌だし、今日見た男は、七海をあんなに笑顔にさせていた。



もう俺は、七海の気持ちを失ってしまっただろうか。



忙しいのが分かっていて克哉さんがくれたお休み。
きちんと話をしようと心に決めて、その日俺はベッドに潜り込んだ。


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