I'm crazy about you.


デートだ合コンだと慌ただしく帰っていく同僚達に笑顔を向けて、皆がいなくなった途端に大きな溜息。
誰もいないと思ったのに、背後から笑い声が聞こえて慌てて振り向いた。



「なんだ七海…一人寂しく残業か?」
「瀬川さん!いつ戻ったんですか?」

自分の隣の席にカバンと上着を置く瀬川さんの姿を目で追う。



「今だ今。あーマジ疲れたぁ」

椅子に座って机に突っ伏した上司であり先輩に、お茶淹れますね、と席を立った。





「瀬川さーん!」

普段なら絶対に有り得ないけど、今は誰もいないのが分かっているから、給湯場からそのまま叫ぶ。


「ブラックなー」
「はぁい!」

何も言わなくても理解して、瀬川さんが返事をくれる。


一、言えば十を理解してくれる瀬川さんとの会話は本当に楽で、しかも女の子の扱いを熟知しているので一緒にいるのが本当に心地いい。
しかも私にとっては、新人だった時に仕事を教えてくれた人なので、気心が知れている相手なのだ。



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