夫婦の定義──君が僕のすべて──
事務所で業務日報を書き終えたレナは、帰宅すると自分の部屋へ駆け込んだ。

ユウはまだ帰っていない。


レナはベッドに潜り込み、先程のできごとを思い出してベッドの中で小刻みに体を震わせた。

(怖かった…。あの時、加藤くんが来てくれなかったら、私…!!)


確かに、シオンの事を、自分よりずっと歳下の子供だと油断していた。

(でも、よく考えてみたら…。あの時…私もユウも、あの子と同じ高3だった…。)


レナの脳裏を掠める、高3の春の記憶。

それまでずっと誰よりも優しかったのに、突然大人の男に豹変したユウに押し倒しされ、無理やりキスされた。

あの時ユウは怯えるレナを押さえ付けて、首筋に唇を押しあて、ブラウスのボタンを外した。


(もしかしたら、あの時ユウは…あのまま無理やり私を…。)


先程のシオンと遠い記憶の中のユウが重なる。

レナは混乱する頭で、震える自分の体を抱きしめるようにして、ベッドの中で涙を流した。


(嫌だよユウ…どうして…無理やりそんな事するの?)

< 138 / 405 >

この作品をシェア

pagetop