俺様御曹司の悩殺プロポーズ
 


お腹がパンパンで、もう食べられないのに……

とは、言わせてもらえなかった。



すぐに目の前に、美しいオムライスが運ばれてくる。



この前、ロケで食べた老舗洋食店よりも、遥かに美しいオムライスだ。



でも、「食べたい!」と思えないのは、満腹状態だから。



そんな状態で食レポすれば、当然ダメ出しを嫌というほど食らう羽目になる。




「これが今、女子に大人気のオムライスですね……。

わぁ、玉子の黄色が鮮やか……。

なんて美味し……そうな、はぁ……」



「おい、旨そうに見えないぞ?

死にそうな顔して、オムライスを見つめる奴がいるか」



「美味しそうデスネ。早くタベタイ。
じゃあ、早速いただいて……」



「おいコラ。何だ、その量は?
スプーンに乗せる量が少な過ぎるだろ」



「玉子がトロトロふわふわで、とっても美味し……うっぷ……ううっ」



「泣くな。吐くな。最低な食レポだな。

もう一回、始めからやり直せ」




ああ、苦しい……胃袋が。


食べることに喜びを感じるのは、満腹まで。

それ以降は辛いだけだと、初めて知る。



厳しく苦しい風原さんのレッスンは、その後2時間も続いたのであった――。





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