身長差43センチのふたり。



バシャッ

「っ……いったぁー…っ!」


運よく私が落ちた場所は雨でぬかるんでいたために、制服が派手に汚れただけで怪我はなかった。


チリン…ッ


体を起こした瞬間に、小さな鈴の音が耳に届いた。

握りしめたままの右手を開いてみると、私の手についていた泥で汚れてしまったお守りがあった。


「あ……っ」


今までこらえていた何もかもがプツッと切れてあふれる。

心に抑え込んでいた苦しさも、切なさも、悲しさも、虚しさも、涙も、限度を知らないかのようにドッとこぼれていく。

良かった…っ、本当に良かった――!

ギュッ…と存在を確かめるように、私は手の中にあるお守りを潰れるくらいに強く握りしめた。


『ひなの…っ?』

「ッ――!」


ああ、もう。

どうして私はこんなにバカなんだろう。


『雛乃!!』


私を呼ぶ声が強くなって、振り返る前に私の冷たい身体が温かい何かに包まれた。



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