イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
今日も久世先輩に会ったからだろうか。

懐かしい夢を見た。






高校生の時、旧校舎の図書室は私のお気に入りの場所だった。

新校舎の図書室と違って人が少ないし、とても静かで落ち着く。

昔の理事長の趣味だったのか、この図書室には寄贈品の洋書が千冊程置いてあった。

それなりに高価なものだったのだろう。

洋書はどれも持ち出し禁止だったから、私は毎日のように通って電子辞書を片手に洋書の小説を読み漁った。

ここで私の進路を決める運命的な本と出会う。

それは、イギリスの作家ジェーン=オースティンの『高慢と偏見』。

誤解や偏見からすれ違う恋を描いた長編小説。

今の私の研究テーマはオースティンの作品とその社会背景。

私が院への進学を決意したのも、もっとオースティンを研究したかったからだ。
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