イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
私を代役に選らんだ事を後悔してるだろう。

十数メートル先にいても、彼の視線を強く感じる。

ふと顔を上げると、私の視線の先にいる彼は冷めた表情でじっと私を見ていた。

きっと姉の方が良かったとか思ったに違いない。

私だってこんな風に結婚式なんてやりたくなかったよ。

私にだって……それなりに夢はあったのだ。

好きな人と二人だけでひっそりと結婚式をして……新婚旅行はイギリスで古城と美術館巡り。

あ~あ、二十メートルのバージンロードが百メートルに感じる。

みんなが私を見ていると思うと……これは拷問だ。

きっと姉なら……王女さまのように堂々と歩いただろうな……。

「では……誓いのキスを」

最悪な結婚式の式次第を振り返っていると、神父のその声が耳に届いてハッと我に返った。

え?キス?
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