イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
自分では決してこんなフワフワ買わないから着こなせるか心配だったんだけど、右京さんが褒めてくれたのでホッと一安心。

ホテルに着くと、スーツ姿の刹那さんが出迎えてくれた。

腕を組んで私の身体を値踏みするように眺めながら、一言。

「馬子にも衣装だな」

刹那さんの目が悪戯っぽく光る。

ガーン、ショック。

私は両手で頬を押さえ、いじけたように呟いた。

「……酷い。そりゃあ、素材は良くないですけどね」

でも、普段絶対に着ない服を頑張って着たんですよ。

お世辞でも褒めてくれたっていいじゃないですか。

「嘘だ。可愛い、可愛い。顔がムンクの叫びみたいになってるぞ」

刹那さんがショックを受けてる私を見てクスクス笑う。

可愛いの後にムンクの叫び……。

刹那さん、それ全然褒めてないですよ。

「私……そこまで絶望的に見えますか?」

私が涙目で刹那さんを見上げると、近くにいたコンシェルジュの若いお兄さんもクスっと笑った。
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