イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
今日は日曜日だけど刹那さんは仕事があるというので、奈々子と銀座をぶらぶら歩いている。と言っても、ほとんど奈々子の買い物に付き合ってたわけだけど。

「冗談よ。大事にされてるんでしょう?」

「うん。刹那さんだと素の自分をそのまま受け入れてもらえるし、実家よりも刹那さんの家の方が居心地がいい」

実家では変わり者扱いだし、いつだってお姉ちゃんのオマケみたいな存在だった。

養女じゃないかと本気で疑った事もある。

「だったらもっと自信持ちなさいよ。万が一薫子さんが現れたとしても当たって砕けろ!」

……砕けちゃおしまいじゃない。

ジロッと奈々子を見る。

「奈々子、その性格うらやましい」

「あんたに言われたくないわ」

心外だという顔で奈々子は目を細める。

「あっ、酷い。傷つくなあ」

いじけたように呟き、ケーキの最後の一切れをパクッと口の中に放り込むと、テーブルの上に置いておいたスマホがブルブルと震えた。
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