イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「刹那兄も凄く心配したんだよ。桜子ちゃんの携帯のGPSで居場所がほぼわかった時は、重要会議中だったのに俺が直接迎えに行くって言い出してね」

「……私がいなくなったら困りますもんね」

私が心配だからじゃない。

お祖父さんに死なれたら困るからだ。

直接迎えに来たのだって、私が逃げないよう脅すためだよね?

「……桜子ちゃん。刹那兄はそんな悪いやつじゃないよ」

右京さんが刹那さんをフォローするが、私は聞く耳持たなかった。

もし……お姉ちゃんが逃げたのが彼の計画通りだとしたら、一ヶ月以内にお姉ちゃんが戻って来ない可能性が高い。

「右京さん、刹那さんはお姉ちゃん探してくれてますよね?」

「もちろんだよ」

右京さんは間髪を容れずに答えるが、それを鵜呑みには出来ない。今の私は彼らの言うことに懐疑的になってしまう。

私は右京さんの顔をじっと見た。

刹那さんがお姉ちゃんを探していないとしたら……?
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