私の横に居る人
家の前でお母さんに捕まって、夕飯を食べて行く智樹先輩。

「おはよう。悠ちゃん。」

「おはようございます。あれっ?智樹先輩…、旅行はどうしたんですか?」

私はそこに現れた智樹先輩の姿に驚いた。

「悠ちゃんには言ってなかったっけ?この休み中にどうしても実家に帰らなくてはならなくなって、一週間前にキャンセルしたんだ。」

「え~、これだけ会ってるのに話してくれなかったじゃないですか。」

私はびっくりして、智樹先輩を見上げる。

「健や寛人に責められたりしていたから、直接話さなくても知ってるかと思ってた。」

何だか智樹先輩らしくて笑ってしまった。

「だからさ~、ゴールデンウイーク中、一日一緒に出掛けない?旅行の代わりと言ってはなんだんだけど。バイトばかりでも疲れちゃうでしょう?」

思いがけない智樹先輩のお誘いに、ドキドキしながら聞いた。

「ご実家はいつ帰られるんですか?」

「明後日から。だから明日しかないんだけどね。どう?」
< 68 / 190 >

この作品をシェア

pagetop