シンデレラに恋のカクテル・マジック
 永輝が笑みをこぼして、菜々の顔からタオルケットを剥いだ。あんなにあられもない声を上げた翌朝、彼の前でどんな顔をすればいいのかわからず、菜々はもぞもぞとタオルケットに潜り込む。

「月曜日は塾の講師の仕事だったね。三時からだっけ」
「はい」

 菜々が答えたとたん、永輝がタオルケットをガバッと頭から被った。柔らかなコットンの生地を通して朝日が差し込み、二人で淡いグリーンの光に包まれる。

「なら、朝はまだゆっくりできるってわけだ」

 永輝が口角を上げて笑い、菜々の顎を片手でつまんだ。

「でも、あの、サウス・オオサカ・マガジンを見てみたいな~なんて……」
「そんなの、いつでも見られる」

 永輝が言ったかと思うと、菜々に襲いかかるように口づけた。


 そうして濃密な月曜の朝を過ごし、トーストとオムレツとサラダでブランチを取った後、ソファに並んで座って、永輝のノートパソコンでサウス・オオサカ・マガジンのウェブサイトを見た。商店街のサマー・フェスタが取り上げられていて、その中で菜々と永輝のことも紹介されている。
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