シンデレラに恋のカクテル・マジック
「想像でわかるって」
「じゃあ、わからないなんて言わないでくださいよー」

 菜々が笑いながら言うと、永輝も笑った。他愛のない会話、ごく庶民的なお好み焼き。特別なものは何もないのに、永輝と二人で過ごすその時間を、菜々は楽しいと思っていた。

(こうやって誰かの笑顔が隣にあるのってすごく久しぶり……。やっぱりいいなぁ)

 この二年間、一人で寂しく食事をする毎日だった菜々の胸に、じんわりと温かなものが込み上げてきた。
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