ごめん、好きすぎて無理。





『だろー?
 俺たち、双子の兄弟だから、ね、兄貴?
 って言ってもたかが5分早く生まれたか遅かったのか、それだけの違いなんだけどね』




海はそう言って、俺に意見を求めるかのように視線を移してきた。







『…あぁ、まーな…』



俺は海の視線に気づき、視線を反らした。







『そうなんですか、でも雰囲気は違うんですね』



海の彼女はそう言って、海と俺の顔をユックリ交互に見つめる。






『俺と兄貴って違う?』



『違うかな?
 今日初めて会ったから“初めての感想”だけど。
 海君は優しい雰囲気でしょ?
 でもお兄さんの陸さんはなんか強そうな感じかな?』


紗奈はそう言って、含みのある笑い方をした。




『てか、男だったら強そうってイメージの方が良くない?』


海のその言葉に、



『でも、私が好きなのは海君、だよ?』


そう、海の彼女は答えた。


その答えに、海は案の定、顔を真っ赤にさせて、でも上機嫌な様子だった。





“あのー、俺もここにいます”、そう言ってやりたいほど、海と海の彼女は二人きりの甘い世界を満喫してるようにしか見えない。




彼氏彼女、だから仕方ない。



仕方ない、そのことは100歩譲って、そう思うようにしよう。






ですが、何故、この人はここにいるんですか、神様?



何故、海の彼女として、今、俺の目の前にいるのですか?



苦しい時の神頼み、なんかしたって俺に一度も微笑んでくれなかった、そんな非情な神様に問いかける俺。





二度と会わない、そう思っていたその人が、今、ここにいる理由をどうか神様、説明をお願いします。








でも、神様は俺の頼みなんて聞いてくれたことは一度もない。





『俺も紗奈が好きだよ』


そう、海は俺の目の前で、最愛の彼女に向かって、愛の告白をする。



海の告白に、頬を赤く染めて微笑む、紗奈…。






紗奈、なんでお前との再会がこんな形なんだよ?















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