ごめん、好きすぎて無理。




そんな昨日の夜。



なんだか落ち着くことの出来なかった俺は一睡も出来ず、朝方になって襲ってきた睡魔と必死に闘いながらもキッチンに向かう。








『あれ、陸、今日日曜なのに早いじゃん?』




運が悪いことにキッチンへ向かうまでの道のりで海に出くわす。






…ですよね。



俺と違って、海は仕事があるない関係なしに、いつも規則正しい生活をしてますもんね…








『あー…まぁ…』




俺はそう言い、キッチンにある冷蔵庫から飲み物を取り出す。







『陸、もしかして彼女でも出来た?』




海のその言葉にギクッてなって。


そんで手にした、冷蔵庫から取り出したばかりの飲み物を落としそうになる。






どんだけ俺は動揺してんだよ…!


そう、心の中で突っ込むも、俺はそのまま取りだしたばかりの飲み物を口にする。








『あれー、否定しないってことはそうなんだ?』




海が無邪気な顔をして、そう俺に聞いてくるも、俺は海の顔をまじまじを見れない。







だって、“お前の彼女だよ!”…だ、なんて口が裂けても言える訳がない。




むしろ“言えない”、というよりも“言っちゃいけない”、その言葉が正しい。









『陸にも彼女が出来たのか!
 なら、紗奈の心配は必要ないなー』



海はニコッとした顔でそう言う、だからこそ何も言えない。








『陸、彼女紹介してよ?
 てかさ、この間みたくみんなで飲もうぜ!

 うん、俺と紗奈、陸と彼女で!な?』




…そんなの出来る訳…





もし、海の言うとおり、海と紗奈、俺と…


そんなんだったら、どれだけ“裏切り”という気持ちを無くせただろう…





もし、海の言うとおりの関係だったら、俺は普通に“同級生だったんだ”と海に言えただろうか…




もし…




そんなことを考えたって、“もし”の後に続くことは現実にないものばかりで仕方のないこと…


















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